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コロナ禍で伸びる公営ギャンブル市場について

 
2022.7.25

コロナ禍で多くのレジャー施設やイベントに関わる事業者が苦しい経営を迫られる中、公営ギャンブル市場は逆に売上が伸びていることが調査により分かりました。

背景には巣籠消費とインターネット投票券やレース中継の配信などの急速な普及がマッチしたものによるようです。
全国の公営競技関連27法人の売上高合計は、コロナ前の前々期(2018年10月期〜2019年9月期)が3兆5,739億円でした。その後、新型コロナ感染が拡大した前期(2019年10月期〜2020年9月期)は3兆7,636億円(前期比5.3%増)、最新期(2020年10月期〜2021年9月期)は4兆311億円(同7.1%増)と伸び幅が拡大し、売上高が4兆円を突破しました。

例えば、日本中央競馬会(TSR企業コード:293829640、以下JRA)の電話・インターネット投票会員数は2019年事業終了時に446万9,128名が、2020年には506万3,023名、2021年に560万6,784名と、コロナ禍の2年間で113万7,656名(25.4%増)増加しました。東京都競馬が運営する地方競馬インターネット投票「SPAT4」の売上高も2019年(1-12月)の2,399億円から、2021年には(同)4,361億円と、コロナ禍の2年で売上が1.8倍(81.7%増)に急伸しました。


競技別の業績推移をみると、競馬関連12法人の売上高は、前々期3兆2,748億円から前期3兆4,351億円(前期比4.8%増)、最新期3兆6,315億円(同5.7%増)と、毎期5%前後で伸ばしました。緊急事態宣言下での無観客開催や大幅な入場数の制限、数カ月間にわたる場外馬券場での発券停止など、対面サービス販売は大幅に減少したが、インターネット・電話での投票増が寄与したためです。
ボートレース関連7法人は、売上高は前々期2,035億円、前期2,368億円(前期比16.3%増)、最新期3,032億円(同28.0%増)で、公営競技の中では断トツの2期連続20%前後の伸びをみせました。2021年度に初めて午後9時以降にレースを実施する「ミッドナイトボートレース」を開始しましたが、好評のため2022年度はレース日数も拡大し、ウィークデーのさらなる顧客増を図っています。

競輪・オートレース関連8法人は、売上高は前々期956億円で、前期は917億円(前期比4.0%減)と減少に転じましたが、最新期は964億円(同5.1%増)と再び増加しました。

インターネット投票の拡大に加え、競技専門チャンネルの普及も売上増を後押ししています。4競技中、JRAレース配信を行う一般財団法人グリーンチャンネル(TSR企業コード:293089205)と、ボートレース中継を手掛ける(株)日本レジャーチャンネル(TSR企業コード:292859031)の2法人は前期、最新期と2期連続の増収となり、「巣ごもり」需要が売上拡大に寄与しました。


一方レジャーやイベント業界は苦境に直面し、「遊園地・テーマパーク業績動向調査」による調査では、国内テーマパーク167社の最新売上高(2020年4月期〜2021年3月期)は4,254億5,500万円で、コロナ前(9,253億1,400万円、2018年4月期〜2019年3月期)から半減以下(54.0%減)となりました。

また、ギャンブルとして競合するパチンコ業はコロナが直撃。経済産業省の特定サービス産業動態統計によるパチンコホールの2021年売上高は2兆4,970億円と、2019年(3兆4,191億円)から2割超(26.9%)の減少となり、厳しい業況が続いています。


ソーシャルディスタンスの徹底で、レジャーやイベント業界の売上が落ちたのはどうにもならないと思います。一方競馬や競艇はネットやテレビでも観戦できますし、投票券を購入するならネットでもできますので、オンラインでサービスを提供し続けられるか、られないかが大きな分かれ道となってしまったようです。

リアル店舗のパチンコ業界は、やはりオンライン化が難しく、それはつまりオンラインカジノそのものになってしまいます。オンラインカジノは日本で運営するのは違法ですので、実店舗でしかサービスの提供をできないパチスロ業界も苦戦する結果となったようです。


公営ギャンブルの売上の推移


こうなると嬉しいのが政府です。当然税収が増えるからです。かたやカジノハコモノ事業で、ギャンブル依存症対策とか謳っておきながら、こういうのには目をつぶって、寧ろ売上を助長させるよう働きかけるのです。