2022.5.19
目次
ギャンブル依存症とは
ギャンブル依存症の治療と克服
ギャンブル依存症の家族の対応
ギャンブル依存症チェックリスト
パチスロ依存症予備軍の例
ギャンブル依存症の例
ギャンブル依存症とは
ギャンブル依存症とは、パチスロや競馬等の公営ギャンブルにのめり込んで、日常生活や社会生活に支障をきたす状態のことを指します。1970年代後半にWHOにおいて「病的賭博」という名称で正式に病気として認定されました。発症のメカニズムがアルコール依存や薬物依存と似ていることから、ギャンブル障害として位置付けられています。具体的な症状として以下のものがあります。
〇ギャンブルをしている時が何ものにも代えがたい濃密な時間に感じる
〇ギャンブルの負けはギャンブルで取り返そうとする
〇負けても、借金しても、周りの人に迷惑を掛けてもやろうとする
〇賭け金はどんどん増えていく
〇ギャンブルをやめようと思ってもやめられない
〇ギャンブルに対して自分の都合の悪い所は他人に嘘をついても隠そうとする
またギャンブルで負けることで、自分の存在感を確認できるという人もいます。ギャンブル依存症の弊害はやはり、感覚が狂ってうつ病を発祥するなどの健康問題、貧困・借金などの経済問題、家庭内不和や虐待や犯罪、自殺といった社会問題にあります。
ギャンブルで勝つと高揚感があり、ドーパミンという物質が放出されます。俗にいう脳汁と呼ばれているものです。これがそのうち、これからギャンブルをするぞと思うだけで放出され、止められなくなってしまうようです。
国内にはギャンブル依存症の疑いがある人が推計で約70万人とも言われています。
私の周りでは、身を崩してしまうほどの重度のギャンブル中毒者というのはまだ見たことはありませんが、大抵の男性は一度はパチスロに大金をはたいてしまったという人は何人もいました。大体数百万円〜一千万円くらいです。そして皆お金が尽きて、我に返ってやめていくという感じでした。結局借金してまでやるということはせず、一線は超えなかったのですね。
よって本当のギャンブル依存症の方はまだ見たことはありませんが、恐らく本を読んだ限りでは大王製紙の前会長、井川意向氏はそうだったのではないかと思います。彼は海外のカジノで総額106億8000万円も負けてしまったみたいですが、お金があればあるほどやってしまうというのは皆共通しているようです。
ギャンブル依存症の治療と克服
ギャンブルはアルコール依存と同じようにやめることができます。しかし身体の器質的な問題というわけではなく、従って有効な治療薬があるわけではありません。
人間はどうも射幸心で得た金に対して、楽に手に入るお金と勘違いしてしまうようです。しかし実際には相応以上ののリスクを負っているのです。勝ったのはただ運が良かっただけで、次はやはり負ける可能性の方が高いのです。この点を忘れて勝った時の旨味を覚えてしまい、常習的になってしまうのです。また厄介なことにアドレナリンの作用で、勝った時の快感をもたらしてくれるのも、脳に刺激を与えてしまいます。
最初はちょっとしたスリルや金銭が目当てだったのが、いつしか目的が刺激になってしまいます。ですので勝ち負けに関係無く、何度も通ってしまうのです。ゲーム自体は単調なので、やがて新鮮味が無くなり、刺激を得るためには賭け金を吊り上げねばならなくなります。こうしてギャンブル依存症となっていくのです。
ギャンブル依存症の陰には、常に孤独という問題が見え隠れしています。
ギャンブル依存症の最善の治療法は、家族や友人とコミュニケーションを取って共感しあうことです。人間の感情は複雑ですので、共感しあうことはギャンブル以上の刺激があり、心地が良いものです。ギャンブルとは真逆なのが分かると思います。共通の話題が無いなら、一緒の旅行の計画を立てて行ってみるのもいいと思います。また自発的に英会話を習ってみたり、今までやらなかった、新しいことに挑戦してみるのも案外開けてくるものです。
一回楽に得た刺激というのは、また楽に手に入るため、苦労して別のものに挑戦することが億劫になってしまいますが、心の扉を開放するよりギャンブル依存症から抜け出せるようにはならないのです。ギャンブル以外の他のものに居心地の良さを認めた時、ギャンブル依存症を克服する大きな一歩となるのです。
またギャンブル依存症を治療する医療機関もありますが、治療を受けている人は年間3000人ほどしかいないようです。
ギャンブル依存症の家族の対応
お金の関係は家族の仲も悪くします。ギャンブル依存症の人が金欠になりますと、まずは家族に無心しようと試みます。ここで与えてしまうと、次から次と無心されてしまいます。本人が働いていないのであれば、まずは社会へ出ることを手伝って、普通の手段でお金を得させてやることをおすすめします。その限りで遊ぶ分には何も問題ないからです。
まずギャンブルに関してのお金を貸すということは絶対にしてはいけません。
社会の出来事について日常会話をしたり、釣りや登山等アウトドアを一緒に楽しむのもいいと思います。ギャンブルとは真逆の健全な趣味で、本人と接してやるのがいいです。それがきっかけになって、ギャンブルから離れることもあります。一人では中々ギャンブルの殻から出てくるのは難しいですので、こちらから他のきっかけを作って、それに付き合ってやるのがいいです。また室内ゲームでは将棋や囲碁などの頭脳ゲームもいいです。奥が深く、金の掛からない遊びだからです。
ギャンブル依存症チェックリスト
@賭博にとらわれている。
A興奮を得たいがために、掛け金の額を増やして賭博をしたくなる。
B賭博を抑える、減らす、やめるなどの努力をしたことがあるけどうまくいかなかった。
C賭博を減らしたりやめたりすると、落ち着かなくなるか、イライラする。
D問題から逃避する手段として、または不快な気分を解消する手段として賭博をする。
E賭博で金をすったあと、別の日に取り戻して帰ってくることも少なくない。
F賭博へののめりこみを隠すために、家族、友人、治療者等にウソをつく。
G賭博の資金を得るために、詐欺、窃盗等の犯罪に手を染めたことがある。
H賭博のために、周囲の人間関係を悪くしたり、失ったことがある。
I賭博による経済状況の悪化のため、他人に金をせがんだことがある。
3つ以上当てはまればギャンブル依存症の可能性が高く、7つ以上は周囲に相談するか、専門機関を訪れる必要があります。「ギャンブル依存症 病院」と検索してみれば近くの病院がヒットします。
パチスロ依存症予備軍の例
飲食店勤務の30台男性
趣味がパチンコで普段は打てないが、休日は開店前から並んで、閉店までパチンコを打っている。休みの日にパチンコを打つために、日々仕事をしているという感じである。給料は生活費とパチンコで負けたお金で、ほぼ毎月使い果たしている状態。
パチンコで使うお金を捻出するために、切り詰めた生活を送っている。食事は仕事場でのまかないが基本で、外食もほとんどしないし、飲みに行くこともない。ファッションにもお金をかけず、サブスクリプションサービスなども利用していない。パチンコが打てなくなったら、どうやって過ごせばいいのか分からない。
パチンコ中心の生活であるが、金銭的な問題には至っていないので、危機感はあるが依存症とは思っていない。
会社員の30台男性
15年くらい毎日のようにパチスロを打っていて、仕事がある日でも、夜の8時とかから打ちに行く。基本的に勝ち負けは関係なく、負けてもいいからとにかく打ちたい気持ちが強く、1日2万円までなら負けても当たり前と思っている。
借金の総額は80万円から100万円くらいを行ったりきたりしていて、生活が破綻することなく10年以上続いている。借金があることは周囲には知られていなく、借金を返したいという気持ちはあるが、そのためにパチスロを止めるのは無理。
会社員の30台男性
コロナ禍でリモートワークが定着するなか、パチンコへの依存度が高まった。毎日のように朝からずっとパチンコを打って、夜に仕事をするようになった。そのせいで睡眠時間がだいぶ減った。しかしパチンコに行くためなら、朝も早く起きられる。
リモートで会議がある時も、どうしてもパチンコを打ちたくて、体調不良だと言って会議をサボったこともある。借金があるわけでもないし、基本的には仕事もちゃんとしているし、問題ないはずだと思いたい。
ギャンブル依存症の例
34歳の会社員
8年前に興味本位で競馬を始めた。数回引き当てた万馬券が沼にはまった要因で一度に200万円を賭けたこともあった。借りた金は1000万円を超え、ついには母親の財布からも金を抜くようになっていた。