メグです♪
ギリシャ国民投票が現地時間で7月5日(日)7:00~19:00に行われました。
ギリシャは国土が131957平方キロメートル(日本の約1/3)で、人口が1100万人くらいの規模の国で、首都はアテネです。
国民投票の内容はEU(ヨーロッパ連合)の求める緊縮策を受け入れるかどうかを問うもので、即日開票されました。
ギリシャの2014年の財政赤字は3171億ユーロ(約40兆円)で、もはや自国内だけでは解決できないこの巨額の債務の一部をEUに負担して貰うよう援助の引き続きを求めていますが、当然援助したお金が無駄に使われてはたまったものではないのでEUの要求は当然です。
EU、ECB(ヨーロッパ中央銀行)、IMF(国際通貨基金)が要求する緊縮策とは、財政の歳出を削減し歳入の増加を図った財政策のことです。
具体的には公務員の早期退職制度を見直すことや、年金の支給開始年齢を段階的に引き上げて2022年までに一律67歳とすること、さらに低く抑えられている年金受給者の医療費負担を増やすこと、付加価値税の税率の引き上げや、ギリシャの島しょ部に対する税の優遇措置の見直し、さらに脱税や所得隠しを処罰するための新たな法律の導入するといったことです。
ギリシャは公務員の年金支給が55歳から開始されるため、早期退職が可能です。
公務員数は約110万人ですから人口の約1/10、労働人口の約/4が公務員ということになります。
給料が月額50~80万円くらい(民間の1.5~2倍)で、退職後の年金は働いてた時の96%も貰える上に、一部の公務員は未婚や離婚の娘は親の年金を引き継ぐことができるという、国の財政に合わない厚遇を施していたのですから財政赤字が膨れ上がるのも無理はないです。
2009年から大分縮小したとは言え、公務員の賃金と年金が未だに主要歳出の80%を締めている(残りは相当切り詰められているみたいです)のでは、とても債務を返済するどころではありません。
小規模経営が多いため脱税もしやすく、長年オスマン帝国の支配下にあったギリシャ国民は政府を信頼しない風潮がそれを後押ししてしまったみたいです。
国民投票は既得権者からすれば「いいえ」と言いたいだろうし、20~30台の労働者からすれば「はい」と答えたいところだと思います。
しかし「いいえ」が上回ると、EUの援助が受けれなくなり、下手をするとユーロ圏にもいれなくなる可能性があります。
さすがに最後はギリシャが折れるだろうと予想する見方が強く、パディ・パワー(アイルランドのブックメーカー) はギリシャの国民投票で有権者が緊縮策を支持することへの賭けを、投票日の5日よりも4日前の1日に払い戻ししました。
賭け金の85%以上が「はい」の勝利の方に賭けられていたらしく、「はい」の勝利はほぼ確実と踏んでのことです。
ブックメーカーはこのように、ブックメーカーが大損すると予想された賭けは事前に取り消す権利があります。
いい例が此間のスコットランド独立問題の住民投票です。
あれも賭けは「独立しない」に支持が集まり、投票日の前にブックメーカーが賭けを取り消しました。
結果は「独立しない」が多数を占め、イギリスに留まる事が可決されました。
ブックメーカーの賭け率は、割りと世論を客観的に見れるところがあり、正しく占ってくれます。
しかし今回のギリシャの国民投票は反対が61.31%、賛成が38.69%で、投票率は62.5%(40%以上で有効)と予想外の結果でした。
高齢化の進む中、既得権者の意思が上回ったと言ったところでしょうか。
緊縮策により年金支給額が大幅に減らされ上に税が上がり、生活の困窮を余儀なくされた年金受給者層の強い反発が汲み取れます。
チプラスが首相になった理由が改めて分かりました。
パディ・パワーはさぞ失敗したと思っていると思います。
今回の国民投票はチプラス首相が「いいえ」を国民に促したことと、投票用紙に上がいいで、下がはいと誘導的な配置になっていたことも大きいと思いますが、この結果を見て学んだことは「やはり歴史は想定された道を行くのではなく、その時その時作り上げられていくものだ」ということです。
「例え手堅い賭けであってもリスクもそれなりにある」ということを改めて実感しました。
これでギリシャのデフォルト(債務不履行)とユーロ離脱は現実味を帯びてきたのですが、本当にどうなってしまうのかなと思っていました。
EUが要求する信頼できる改革案を9日(今日)までに提出しなければならず、チプラス首相はそれを誓って救済措置を要請しましたが、本当にそんなのできるのかなと思ってしまいます。
しかしEUだってギリシャのユーロ圏離脱は望んでいないと思います。
いずれにしろ今後のギリシャは茨の道を行く感じです。
失業率が25%を越えており、今日も引き出し額が1日60ユーロに制限されてしまった市民がATMに並ぶ姿が、事態の深刻さを物語っています。