FIFAワールドカップカタール2022

4年に一度の祭典ワールドカップがカタールで開催されました。アラブ諸国、中東の地初の開催です。今回はワールドカップを観戦して感じたことを書いてみようと思います。

カタール

カタールはアラビア半島の西側に位置する国家で、南はサウジアラビアと国境を接し、残りの領土はペルシャ湾に囲まれています。国土は、人口は約250万人、首都はドーハで国民の8割以上が住んでいます。国土の大分は平坦な砂漠地です。

1868年にムハンマド・ビン・サーニーがイギリスと条約を結び、独立国としての地位を認めて以来、カタールはサーニー家による世襲君主制国家として統治されてきました。1916年に英国の保護下に入り、1971年に独立を達成しました。

公用語:アラビア語

首都:ドーハ

首長:ムハンマド・ビン・サーニー

面積:11,427平方キロメートル(秋田県よりもやや狭い面積に相当)

人口: 2,508,182人(2022年)

宗教:イスラム教

時間帯:UTC+3(日本との時差は6時間で日本の方が進んでいます。)

世界第3位の天然ガス埋蔵量(880立方フィート)と石油埋蔵量(252億バレル)を背景に、高所得者層が多い経済国であり、1人当たりのGDPは$96,607で世界第4位です。カタールは世界有数の液化天然ガス輸出国であり、一人当たりの二酸化炭素排出量は世界一です。

一方市民の自由に対する制限や数千人の移民労働者の扱いなどはひどいもので、欧米からは非難されています。

賛否両論ある今大会に、カタールは総額31兆円という国家予算に匹敵する金額をつぎ込んでおり、さすがに富豪の国だと思わせます。

ワールドカップ2022の組み合わせと死のリーグ

4月2日に行われたカタールの抽選会でグループリーグがこのように決められました。前回に引き続き今回もイタリアが出てこないのは意外でしたが、それだけ欧州のレベルが拮抗していることが伺えます。日本はグループEに入りましたが、スペインとドイツと同じ組で、日本もアジアでは最強ですので、この組が死の組と言われています。

前回に引き続き今回もVAR(ビデオアシスタントレフリー)が導入されます。私は公平でいいと思っていましたが、本田圭佑は「見えないところで汚いことをすることもサッカーの一部やったけど、VARが導入されたことで、許されなくなった。正直この流れには寂しい気持ちはある。」とつづっていたのは興味深かったです。

グループB イングランド対イラン 2022.11.21

開会式と開幕戦を見逃し、この一戦を幕開けに観戦することになりました。開始から9分後アクシデントが起こります。イランのキーパー(アリレザ・ベイランヴァンド)が味方と頭同士で衝突して脳震盪による疑いですぐに降板しました。何でもないプレーに見えたのですが、一つのボールに勢いよく向かっていくため、こういうことも珍しくありません。命懸けとは言わないまでも、サッカーはそれに近い競技だと改めて感じました。

試合自体はイングランドが終始ペースを掴んで、6-2でイングランドが勝利しました。ちょっと力の差がありすぎた感じでした。

ルークショーからのクロスをベリンガムがヘディングで合わせて先制するところです。この先制点が大きかったと思います。こで気持ちが楽になったのかイングランドはサカ、スターリングと間髪入れずに決めました。優勝候補の一角を成すイングランドとしては幸先いいスタートを切ったのではないでしょうか。

グループD デンマーク対チュニジア 2022.11.22

得点になったかと思いきやオフサイドというシーンが多かった気がします。デンマークがやや押し気味だった気がしますが、チュニジアは守り切ってスコアレスドローとなりました。

エリクセンのシュートをチュニジアのゴールキーパーダーメンは好セーブで防ぎました。

グループE ドイツ対日本 2022.11.23

最初はドイツがボールを支配する時間が長く、日本は守勢に立たされる展開でした。しかしボールを奪い速攻で伊藤がクロスをあげて、前田が押し込み先制かと思わせましたが、オフサイドでした。前半31分、ラウムが権田に倒される格好となってPKでギュンドアンが決めドイツが先制しました。しかしこの日は権田の好セーブが目立ちました。

後半30分ノイアーがはじいた球に堂安が反応して左足で押し込み同点に追いつきました。見ていて沸きましたね。

堂安が丁度いいところに詰めていた感じでした。恐らくドイツの守備に問題があったのではないかと思います。

更に38分板倉がロングボールを送り浅野が反応してノイアーのニアサイドを打ち抜き決勝弾を決めました。1-2で日本が逆転勝ちし、ドーハの奇跡をもたらしました。

相手ディフェンダーから中へは入れさせて貰えませんでしたが、それでもスピードに乗って浅野が狭い角度から決めました。これは技ありのゴールだったと思います。

直前まではドイツ相手では恐らく2-?で負けだろうぐらいに予想していましたが、いい意味で期待を裏切ってくれてこれからが楽しみです。昨日はサウジアラビアがアルゼンチンに逆転で勝ちましたが、サッカーは最後まで何が起こるか分からないゲームだと思いました。実に面白い試合でした。

グループH ウルグアイ対韓国 2022.11.24

立ち上がりは韓国ペースを思わせるも、徐々にウルグアイもエンジンがかかってきて、白熱した試合でした。これだけ激しい展開ならどちらかに点が入るだろうと思っていましたが、結果はスコアレスドローでした。この試合で0-0なのかと思いましたが、それだけ接戦だったことを物語っているようでした。

後半もうすぐロスタイムに入ろうかというところでバルベルデが強烈なミドルシュートを放ちましたが、惜しくもポストに当たりました。ソン・フンミンのフェイスガードも印象的でした。

グループE 日本対コスタリカ 2022.11.27

この日はこの一戦を観ました。第一節から考えても日本が勝つだろうと思い、ワールドカップの日本戦で珍しくリラックスして観られる試合だろうと思っていましたが、蓋を開けてみると前半0-0で折り返しました。日本ペースであったと思いますが、ゴールには至らず嫌な予感がしていました。

後半35分吉田の中途半端なパスから相手に拾われフリーになったフレールが見事なシュートを決めました。権田も手を掠めましたが、ちょっと届きませんでしたね。結局このゴールが決勝弾となって、日本が終始攻めながらもワンチャンスを生かしたコスタリカが0-1で勝ちました。

大多数の人は内容が良く無かったと言っていましたが、私から見れば少し日本に運が味方しなかっただけで、それほど悪くは無かったと思います。しかしペースを掴んでも決めきれないところにサッカーの難しさがあると思いました。

グループG ブラジル対スイス 2022.11.28

日本時間で深夜でしたが観てしまいました。ネイマールのいないブラジルが、どういう戦い方を見せるのか興味があったからです。

ブラジルの攻勢にスイスが鉄壁の守備を見せてる展開でしたが、カゼミーロのボレーシュートが見事でした。スイスの守備にミスは無く、ゾマーもノーチャンスでした。見ていた瞬間何が起きたか分からないくらい鮮やかでしたね。結果は1-0でブラジルが勝ち、決勝トーナメント進出を決めました。ブラジルに余裕は見られなく、とてもいい試合だったと思います。

グループE 日本対スペイン 2022.12.1

日本時間では12/2の4:00でした。頑張って起きて観戦しました。前半はスペインペースで立ち上がり11分でモラタがヘディングシュートを決め先制します。しかし日本は後半3分に堂安が左足のシュートでキーパーの手を弾き同点に追いつきます。

堂安のシュートですが、前が開いていたのが幸便でした。

更に3分後に、三笘がゴールエリア内のゴールライン際から中央に折り返し、田中が体で押し込みました。

三笘が折り返すところですが、ギリギリでした。これは神業だったと思います。見ていて鳥肌が立ちました。サッカーは何が起こるか分からず、それは思いもよらない時に起こると、今大会はつくづく思いました。これが決勝ゴールとなり日本が2-1でドイツ戦につづきまたしても逆転勝利しました。頑張って起きて観て良かったと思います。

以前日本のサッカーはゴール前の攻めぎ合いに、何をしていいか分からないようなプレイをする印象がありましたが、選手達がヨーロッパでプレイするようになって、自分達の主張がはっきりするようなサッカーになったと思います。気持ちがゴールに向いているのですね。決勝トーナメントも楽しみです。これでEグループは日本が首位通過、スペインが2位通過となりました。

ノックアウトステージ

これがノックアウトステージのドロー表です。個人的にはグループHの最終戦が印象的でした。韓国がポルトガルに逆転勝ちしたのは凄いと思いいましたが、ウルグアイがガーナに勝って、勝点、得失点差で並び、得点差で韓国に軍配が上がりました。ガーナ戦で散々アシストしたスアレスが泣いていたのが心に残りました。選手にとってワールドカップは特別なものなのだと改めて分かりました。

フランス対ポーランド 2022.12.4

この試合はエムバベの強烈なシュート2つが印象的でした。ポーランドもよく攻めたと思いますが、フランスはよく守りました。最後はぺナルティキックのやり直しでレバンドフスキが決め一矢を報いましたが結果はフランスの3-1で勝利でした。

エムバベの右ゴールを突き刺すシュートです。シュートの精度が高いと思いました。またこのゴールはグリーズマンのロングパスから始まるカウンターでしたが、決めきれないとこういうチャンスを相手に与えるんだと思いました。

イングランド対セネガル 2022.12.4

この試合はイングランドの巧みな攻めが決まったと思います。セネガルのディフェンスが開いているような気がしました。

ケインのシュートです。前が開いておりさすがに決めてきました。結果は3-0でイングランドの勝ちです。中3日のためか、後半30分超えた辺りからは特にカメルーンの動きが鈍った感じがしました。

これはエクアドル戦ですが、セネガルのサポーターは癖が強いですね。このライオンはインパクト強かったです。

日本対クロアチア 2022.12.5

初のベスト8を狙う日本と前回大会ファイナリストのクロアチアの一戦です。ドイツ、スペインを撃破してグループリーグ首位通過の日本の方が優位かと思っていましたが、ブックメーカーオッズではクロアチアの方が低かった(クロアチア優位)のが意外でした。

前半終了間際前田大然が決めてくれました。いいところに詰めてたなっと思いました。これで日本折り返し今度こそベスト8かと思いました。

しかし残念ながら後半の早い段階でクロスを合わされ、ペリシッチにへディングで決められてしまいます。

後半17分モドリッチの強烈なミドルシュートが出ましたが、権田はスーパーセーブで弾きました。これは神業だったと思います。結局1-1のまま延長にもつれ込み、三笘が自陣からドリブルしシュートまで持っていく惜しいプレイはありましたが、それでも追加点には至らずPKに突入しました。PKは南野、三笘が止められ、浅野は決めましたが、最後に吉田麻也が止められ、1-1(PK1-3)で日本が敗れました。PKはどこに蹴れば確実に入るというものでは無く、また強く蹴ればいいというものでも無く、ある意味賭けです。キーパーにしてもても見極めと感は大事ですが、最後は結局どちらへ行くのか賭けなければなりません。今回はクロアチアに分があったというこで、決してキッカーを攻められるべきものではなく、寧ろ相手キーパーを称えるべきものだと思います。日本代表選手達には胸を張って日本に帰って来て貰いたいですね。

モロッコ対スペイン 2022.12.6

この試合は0-0の同点で今大会2回目のPK戦になりました。そしてPKは3-0でモロッコが勝ちました。スペインがPKで1点も取れなかったのが意外でした。スペインの指揮官ルイス・エンリケは1000本のPKの練習を課していたようですが、皮肉にも相手のキーパーヤシン・ブヌに阻まれました。

ブヌは凄かったですね。ブスケツのシュートを弾きましたが、ブヌは最後までボールを見て判断しているようでした。

クロアチア対ブラジル 2022.12.9

準々決勝クロアチア対ブラジルはスコアレスで延長に突入しました。

延長前半のロスタイムでネイマールが見せてくれました。狭い所をワンツーでくぐりぬけて決めました。

延長後半ギリギリでペトコビッチが左足で合わせ同点に追いつきます。これもいい形でした。そしてPKです。

PKは4ー2でクロアチアが制しました。ロドリゴのシュートをセーブするリバコビッチです。

クロアチアはPKを全て決めていましたが、これなら日本がPKで負けるのもしょうがないかなっと思いました。

オランダ対アルゼンチン 2022.12.9

激しい熱戦でしたが、いい試合だったと思います。

荒れた試合でしたが、悪質なディフェンスをしたパレデスが、その後オランダベンチにボールを蹴り込み、もみくちゃになりました。

2点を追うオランダが、後半ロスタイムで追いつきました。セットプレイでキッカーのコープマイネルスは意表を突いてグラウンダーの縦パスを選択し、ウェクホルストが決めました。最後はPKとなって3-4でアルゼンチンが勝利しました。

両チーム合わせて18枚のイエローカードはW杯最多のカード数でした。後味の悪い試合でしたね。

尚この主審に対しメッシは「審判はあまりにもカードを出しすぎた。観客も見ていると思うが、FIFAがこのようなレフェリングを考えないといけない。このような重要な試合であのような態度は感心しない」と苦言を呈しました。そして後日スペイン人主審のアントニオ・マテオ・ラオス氏は帰国させられたようです。

イングランド対フランス 2022.12.10

この試合も拮抗したいい試合でしたが、後半32分グリーズマンが左サイドの敵陣深くから左足で鋭いクロスを上げ、ジルーがヘディングで合わせ勝ち越しのゴールを決めました。イングランドはハリー・ケインが1回目は決めたものの2回目のPKを外したのと、最後ラッシュフォードがフリーキックを外したのが敗因となった感じです。2つとも枠外で、このどちらかで決めねばなりませんでしたね。イングランドはW杯の半分近くがベスト8止まりで、この壁が高いようです。フランスは準決勝のモロッコ戦にマクロン大統領が観戦に来るそうです。

フランス対モロッコ 2022.12.14

準決勝です。モロッコはアフリカ勢初のベスト4です。この試合の内容は非常にハイレベルで本田圭佑をもってしても「何で投げ銭システム無いの?」と言わしめたほどです。マクロン大統領も観戦していました。

ボールの支配率は意外にモロッコの方が高く、寧ろフランスはそういう相手に持たせる作戦を取ったといった感じでした。エルヤミクがオーバーヘッドシュートを放ちましたがこれはインパクト強かったです。惜しくもポストでしたが、ロドリゲスもしっかり反応していました。

エムバペは相手ディフェンスの密集地帯からうまくボールを送り、コロムアニが押し込みました。自分でも決めれるし、パスも上手いし、ドリブルは速いしエムバペは自分の中では最優秀選手です。尚最初の得点はグリーズマンが絡んでおり、今大会はチームの中心プレイヤーが自分で決めなくてもよく得点に絡んでいる印象を受けます。結果は2-0でフランスが勝ちました。しかしこれだけ内容がいい試合ですと負けたモロッコを責める人は多分いないと思います。3位決定戦はクロアチア対モロッコ、決勝戦はアルゼンチン対フランスになりました。

クロアチア対モロッコ 2022.12.17

3位決定戦です。前半の早い段階で両チームはヘディングシュートを決めました。展開が早くて面白い試合になる予感がありました。しかしその後中々得点が決まらず、前半41分にオルシッチが角度のないところからシュートを放ち、ポストに当たって入りました。

このゴールが決勝弾となって、2-1でクロアチアが勝ちました。

クロアチアは前回大会で準優勝、今大会は3位です。もう立派なサッカー強豪国の一員ですね。一方モロッコもよく頑張ったと思います。アフリカ勢初のベスト4で、身体能力の高さを見せて貰いました。ジブラルタルを渡ればすぐスペインですので、限りなくヨーロッパに近いアフリカですね。

アルゼンチン対フランス 2022.12.18 決勝

試合前はフランス選手の体調不良でどうなるのかと思いましたが、始まってみるとやはり前半戦は変調だったと思います。目立った攻撃が見られず、逆にアルゼンチンはディマリアを左サイドで起用しどんぴしゃりでハマった感じです。ぺナルティエリア内で相手のファールを誘い、メッシがPKを決めて先制しました。次の得点が流れるように印象深かったシーンでした。

マックアリスターからメッシ、アルバレスとワンタッチパスで相手のプレスを上手くかいくぐり、最後にアルバレスがスペースにスルーパスを送るとマックアリスターが後方から追いつき最後にディマリアへパスを送りディマリアが決めました。

このプレイは鮮やかでお手本のようなプレイでした。

しかし後半36分フランスが底力を見せます。エムバベがPKを決めるとその1分後にエムバベがボレーシュートを決め、2-2に追いつき延長戦にもつれ込みます。延長は最後に両チームにチャンスがありましたが、互いに死守しました。結局延長でも決着がつかずにPK戦へ突入し、PKはアルゼンチンが4-2で制しました。

アルゼンチンは1986年マラドーナが成すし得た以来のワールドカップ制覇です。

ハットトリックを決めたエムバベですが、笑顔はありませんでした。マクロン大統領が降りてきて慰めていたのは印象的でした。

マルティネスは変なパフォーマンスをしていました。こういう場では止めた方がいいですね。

ヤングプレイヤー賞はフェルナンデス、最優秀選手MVPはメッシ、ゴールデングローブ賞はマルティネス、ゴールデンブーツ賞はエムバベでした。現地解説の本田圭佑は「正直嫉妬を感じる。」っと言っていたのは印象的でした。

メッシのワンマンチームからメッシを中心にチームの選手を全体的に使ういいチームになったと思います。

2022FIFAワールドカップカタールを見て

終えて見れば日本はベスト9でしたがドイツ、スペインと優勝国に勝ち大健闘だったと思います。全体的にはどの国もサッカーのレベルが同じくらいになってきたという印象でした。優勝したアルゼンチンですらグループステージの初戦でサウジアラビアに敗れていますからね。そしてPKの重要性を認識させられる大会でした。「PKを制するチームがワールドカップを制する。」と言ってもいいのではないでしょうか。しかし海外選手のタトゥーはあまり見ていていいものではないですね。個人的にはスポーツ精神に反するものだと思います。

サッカーに関しては逆転の試合が多く見られ、最後まで何が起こるか分からないものだと思いました。2026年のワールドカップは参加国が32か国から48か国に増加し、カナダ、アメリカ、メキシコの合同開催になります。楽しみですね。