2021初場所から相撲マーケットを考えてみる
2021初場所

1月10日から大相撲初場所が予定通り、両国国技館で開催されています。

新型コロナ感染を受けて、関取16人を含む65力士が休場という前代未聞の状況で行われています。荒汐部屋、九重部屋、友綱部屋、宮城野部屋では力士の感染が発覚しており、この部屋に所属する全ての力士は出場を控える事態となっています。白鵬まで感染して、鶴竜が休場ですので横綱抜きというのもまた驚きです。相撲はコンタクトスポーツの上、部屋で寝食を共にするため感染リスクが高いのが原因です。

観客を入れての開催ということもあり多くの批判が殺到しています。これだけPCR陽性者が出ている中開催するのはおかしい、休場を余儀なくされている力士が多いのに開催は不公平というのが主な理由です。テレビで観ていると客同士は距離を取っているようにも見えません。東京は緊急事態宣言中で自粛を要請されている中開催せざるを得ないのは、営業収入を失うのが大きいからなのは容易に想像つきます。

大相撲はこの10年で人気が大きく落ちました。日馬富士暴行事件から数々の不祥事が暴露され、貴乃花が追放され、体制は変わらず今に至ってるのが現状です。元序二段琴貫鐵(ことかんてつ)の柳原大将はコロナの恐怖を理由に引退に追い込まれました。大相撲の三段目力士の勝武士(しょうぶし)は20代でコロナ感染により逝去されました。

いろいろありましたが、いざ取組となるとそこは今も昔も変わらない感じです。裸の大きながたいがぶつかり合い、力と技を競い合うこの風景は新鮮さを感じさせません。変わってることと言えば観客がややまばらでマスクをしており、歓声が無いということくらいでしょうか。

この相撲がブックメーカーのベット対象になりました。ベット対象はどちらが勝つかの試合ベッティングのみですが、相撲はテレビで観れるため勝敗の予想をしやすいのがメリットです。

マーケット

相撲のマーケットは幕内の試合ベッティング(勝敗)しかありません。ライブベッティングもありません。試合時間が短いためこれはしょうがないです。

これはウィリアムヒルの1月16日(7日目)のマーケットです。オッズは日付が変わる頃辺りに発表されます。

控除率

ウィリアムヒルの控除率を考えてみます。還元率=当たる確率×オッズ×100になります。当たる確率というのはこの場合は勝つ確率ですが、真値は分かりません。しかしブックメーカーのオッズからブックメーカーがどう考えているのかは計算で分かります。例えば1月16日(7日目)のマーケットで貴景勝対栃ノ心であれば、貴景勝の勝つ確率は2.62/(1.44+2.66)、栃ノ心の勝つ確率は1.44/(1.44+2.66)と考えています。引き分けは無いので足せば1になるというわけです。よって貴景勝の場合還元率=【2.62×1.44/(1.44+2.66)】×100、栃ノ心の場合還元率=【2.62×1.44/(1.44+2.66)】×100となり共に約92%となります。よって控除率は8%です。

1月15日(6日目)のマーケットで志摩ノ海対翔猿はオッズが1.83と共に同じでした。この場合は勝つ確率が1/2ですので、還元率=(1.83/2)×100=91.5%となり、控除率は8.5%となります。

よってウィリアムヒルの相撲ベッティングの控除率は8~8.5%くらいと考えられます。

今までの結果を見て自分でオッズを考えてみる

1月16日(7日目) 大栄翔(前頭筆頭)6勝0敗ー隆の勝(関脇)4勝2敗

この一戦を予想してみます。隆の勝の方が番付では上ですが、ここまでの勢いから大栄翔有利と考えます。ここまでの6戦のリプレイを見て、大栄翔1.61-隆の勝2.2と考えました。これはあくまで自分の感覚です。

これがウィリアムヒルの(6日目)のオッズと結果です。赤枠が勝ちでした。このように見ますとオッズが高い(劣勢と思われている)方も案外勝っていることが分かります。このオッズのどれかを選びます。

 

では実際にウィリアムヒルのオッズを見てみます。

何と全く同じではありませんか。自分の予想とブックメーカーの予想が一致するわけで、これでは控除率分利益は出そうにありません。よって今回のベットは見送ることになります。ブックメーカー投資とは、勝敗であればこのように自分の予想とブックメーカーの予想を比較して、自分より高いオッズをつけている方にベットすることになります。自分のオッズ予想の精度が高くなればなるほど勝てるようになるはずです。

実戦

1月18日(9日目) 大栄翔(前頭筆頭)8勝0敗ー宝富士(前頭二枚目)4勝4敗

過去の対戦成績では宝富士の方が勝ち越しており、直近でも宝富士の3勝です。一方今場所で注目している大栄翔ですがここまで8連勝で勢いがあります。過去の対戦成績と今の勢いどちらを優先するかですが、相撲は短期決戦ということもあり勢いを重視して大栄翔が有利とみます。私なら大栄翔1.6-宝富士2.25をつけたいです。

 

1月18日(9日目) 玉鷲(前頭四枚目)5勝3敗ー正代(大関)6勝2敗

 

一見格上で一つ勝ち越している正代が有利に見えますが、案外どちらが勝手もおかしくない取組です。前回は正代が勝ち越しているから私なら玉鷲2.0-正代1.73をつけたいです。

 

自分の予想オッズと少し差があるため宝富士と玉鷲に$5ずつベットしてみます。

結果は宝富士と正代の勝ちです。$3.13の利益でした。

 

1月20日(11日目) 天空海(前頭十三枚目)2勝8敗ー佐田の海(前頭十七枚目)6勝2敗

今日は下位の予想をしてみます。初戦です。私の予想は今成績を重視して天空海2.25-佐田の海1.6をつけました。

ウィリアムヒルのオッズは天空海2.0-佐田の海1.73でした。私の予想より高い方の佐田の海に$5をベットしました。

結果は寄り切りで天空海の勝ちでした。-$5

 

1月22日(13日目) 朝乃山(大関)8勝4敗ー隠岐の海(前頭五枚目)7勝5敗

今日はこの一戦の予想です。優勝の目がほぼ無い朝乃山は今場所本調子とは言えません。しかし過去6場所の対戦成績を見てみますと朝乃山が5勝0敗と大きく勝ち越しています。

これを考えるとやはり朝乃山が優勢そうです。朝乃山1.5-隠岐の海2.5のオッズをつけたいところです。

ウィリアムヒルへ行ってみましたが何とその日の相撲のマーケットはありませんでした。こういうこともあるのですね。

ブックメーカーの損益ラインを考えてみる

天空海2.0-佐田の海1.73このオッズを元にブックメーカーの損益ラインを考えてみます。両者のユーザーのベット額合計が$100だったとします。$50づつのベットだったとすると、天空海が勝った場合、ブックメーカーの損益は±0になります。佐田の海が勝った場合は100-1.73×50=13.5となりブックメーカーの利益は$13.5となります。天空海が勝ってブックメーカーに利益が出るラインは、100-2.0×X>0となり50>Xより天空海に$50以下ベットされる場合です。一方佐田の海が勝ってブックメーカーに利益が出るラインは100-1.73×Y>0となり57.8・・>Yより佐田の海に$57.8・・以下ベットされた場合になります。X+Y=100より、100-1.73(100-X)<0となり42.196<X。つまり勝者に関わらず、天空海に42.196・・・<X<50の範囲でベットされた場合ブックメーカーに利益が出ることとなります。佐田の海から見ると50<Y<57.803・・の範囲でベットされた場合ブックメーカーに利益が出ることとなります。

こうして見ますとブックメーカーはどちらが勝つかということより、どれぐらいの比で買われるかと予想する方が利益が出るオッズを付けやいのが分かります。

脳震盪問題

今場所10日目の幕下取組、湘南乃海-朝玉勢戦で頭同士がぶつかり合い、湘南乃海がフラフラになって立てなくなり、本人の意思を確認して取組をやり直し、湘南乃海が勝つという出来事がありました。脳震盪は激しく接触するラグビーなんかでもたまにあり、記憶がとんだりして危ないです。ともすると後遺症が残るかもしれません。今回大相撲でこのようなことが起こり、この場合はどうするのか取り決めが無かったため、このやり直しは正しかったのか多くの人が関心を持ちました。考えてみますとお互い前に突進する形で当たりますので、如何にも頭同士が当たりそうな感じはします。

滅多に起こることではないのですが、この取り組みを最後の方に回すなり延期するなり、何かしらの処置はあってもいいと思いました。激しいですので脳震盪の直後にやるのはどう考えても危険ですからね。

溜席の妖精

テレビで相撲を観ていると最前列の溜席の端に、お洒落で高貴な婦人がたまに映ります。毎日同じ席にいますので、毎日観ているとまたいるなっという感じになります。ネットでは溜席の妖精と言われていました。それにしてもこんなにいい席で毎日同じ席のチケットが取れるものなのでしょうか。大金持ちで角界に一杯寄付しているとか、関係者の身内とか特別な身分だと思われます。

背筋が伸びており綺麗な姿勢です。よほど相撲が好きなのですね。

大栄翔の優勝

2021初場所の優勝は大栄翔でした。突っ張りが強くて勝った相撲は完勝といった内容が多かったです。大関総なめで力強い相撲でした。おめでとうございます。埼玉出身の力士としては初優勝となります。

まとめ

自分でオッズをつけるとしたら、今場所の勢い、過去の対戦成績から考えて、どちらが優勢なのかは大体ブックメーカーと一致します。しかし自分の場合はどうも優勢な方をブックメーカーよりも低いオッズをつける傾向がある感じでした。それだけ相撲は何が起こるか分からなく、はっきり勝敗を予想しにくいのです。実際もオッズの高い方(劣勢と思われている方)が勝つことも少なくありませんでした。相撲ベットで控除率の8~8.5%を差し引いて利益を出すのは相当難しいと思いました。次の場所はどういう取組が狙い目なのか考えてみたいと思います。新型コロナのこの時期にお疲れ様でした。