私の吃音の付き合い方について

まず始めに何を隠そう、私は吃音(どもり)です。


いつから発症したのか定かではありませんが、小学校に入る前から吃音だったと記憶します。

そして50歳を過ぎた今でも残念ながら治っていません。


「おおおおおばあちゃん。」とか「ささささささきさん。」とか最初の言葉を繰り返してしまうのです。

いわゆる連発性吃音と分類されているものですが、特に緊張したり興奮したりしている時はひどいものです。

スムーズに会話ができなくて、ひどいコンプレックスを幼少の頃より抱いていました。


電話を掛けた時は自分の名前すら言えず、無言になってしまい、相手に切られてしまったこともあります。

きっとイタズラ電話だと思ったのかもしれないと思いますと、とて悔しく悲しくなります。


学芸会の時は一言しかない短いセリフなのに、やはり言葉になりませんでした。

その時は幸いに次の人がフォローしてくれ、不自然にならずに進行してくれたので助かりました。


友達とけんかになっても、「お前ちゃんともの言えよ。」とバカにされ、嘲笑されたこともあります。

恥ずかしながら、心底殺してやりたいと思いました。


高額の吃音矯正グッズなども購入してみましたが、時間の都合上(実際には根性もありませんでしたが)、長続きせず断念してしまいました。

吃音に関して、やはり治らないものは治らないのです。
残念ながら私の場合はそうでした。



いろいろありましたが、こんな私でも就職することができ、課長になれました。

結婚もし子供を育てることもできています。



これは自慢でもなんでもなく、吃音を治らない人へのメッセージで、「職業を選ぶことで吃音が治らなくても、普通の人と大差ない人生を送れますよ。」と言いたいのです。


私の吃音克服法とは職業を選ぶことでした。

仕事は人生の長い時間を占めるため、そこさえ抑えてしまえば意外に吃音が人生に及ぼす割合は小さくなるのです。


では私がどんな職業を選んだのかといいますと、「臨床検査技師」という医療系の仕事です。

今私は田舎の中規模病院に勤めていますが、主に血液を扱い、自動血算算定装置にかけたり、顕微鏡で血像を見たりと、医療従事者ながらあまり患者と接する機会の少ない仕事に就いています。

若干逃げ的な意味合いもありますが、これが私の選んだ道でした。


臨床検査技師は誰にでも成れるというものでもなく、専門学校か専門の大学へ行き単位を取って、国家試験に合格しなければなりません。

一見難しいように見えますが、決してハードルは高くありません。

看護師と同じくらいの難度だと思います。

また国家資格に守られているという強みもあります。(これ結構でかいと感じています。)

仕事は正直マンネリ化しますが、反面長く勤めて最年長になれば、大抵は課長になれると思います。

仕事の内容はあまり喋ることとは関係なく、黙々こなせば給料が貰え、普通に一人前に認めてくれます。

時には嫌なこともあり、吃音が出てしまいますが、それでも意外にバカにされたことや嘲笑されたことはありません。

その背後にはやはり認めて貰えているんだな、という実感があります。


吃音は年と共に半数は自然に治っていくそうですが、治りきらなかった人に伝えたいことは、吃音は治らなくても平気だということです。

大切な事は、仕事をこなし、社会に認めてもらうことです。

どんな仕事でもいいと思いますが、社会に認めてもらうことが重要だと思います。


そのためには、できる限りやり易い、得意な仕事がいいと思います。

私の場合は喋る機会がそれほど多くはなく、国家資格を取得する職業というものでした。

特に二十歳前でしたら、なるべく早く自分に合った進む道を決めてしまうことが大事ではないでしょうか。


吃音は治るのが一番いいのですが、どうしても治らない場合は私のように上手く付き合うというのも克服法の一つです。

 

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